
さよなら、僕らが愛した綿麻ツイル
感傷的なタイトルになってしまいました。でも、4年の時をともに歩んできた素材との別れはそれほど大きいのです。そうです、廃盤が決まってしまいました。
ご愛用いただいている方も少なくない、ホーローシャツの定番『ワークシャツ365』
そのデザインや形に魅力を感じて選ばれていると同時に、採用している生地の気持ちよさにやられてオーダーを決める方も多い「適材適所」な服なんです。
その大切な「素材」の終わりが近づいていることをつい先日メーカーから知らされました。
これまで数々の素材の廃盤と向き合っては、新しい生地との出会いを楽しみながら乗り越えてきました。でも今回のこの素材に関してはさすがにショックを受けました。
あまりにちょうどいい素材
4年もの間ずっと使い続けてきて、確実にホーローシャツで最もたくさん仕立てた素材です。
インナーのシャツにしてはちょっと分厚く、アウターにしては薄い、どっちつかずな印象を受けるアパレルデザイナーもいるかもしれない素材なのですが、そのどっちともいえない微妙なラインが、ホーローシャツの服にはぴったりでした。
特にこの『ワークシャツ365』に関してはそれが顕著で、透けにくい程よい厚みがありながらもすごく柔らかい。そんな質感が、なんともいえない安心感を生み出してくれて、何度試着した方から「生地がめちゃくちゃ気持ちいい…」という言葉を聞いたことか。
似た役割の素材だと、軽めのスウェットが思い浮かびますが、そんな楽ちんさもありつつそこまでカジュアルになりすぎないのは、やはり織物の良い特徴が出ているからだなと思います。
シワにも比較的強く、スチームを当てればすぐに綺麗な表情になるのも魅力です。そりゃ「ついつい着ちゃう」のも頷けます。
素材は「麻55% 綿45%」の割合で構成されているのですが、試着の途中にお伝えすると驚かれるほど、一般的にイメージする麻の風合いを感じません。
シャリシャリした感じは全くなく、とにかく柔らかい。着用中にできるシワもほとんど気になりませんし、季節感もないオールシーズン使える見た目。じゃあ、この「麻55%」はどこにいったの?という感じ。
でも、この素材が柔らかくも弾力があり、絶妙によれっとしにくいのは、麻のおかげもあると思っています。
「定番」を守ることの難しさ
と、語り始めると止まらないくらいに愛用してきた素材が無くなるというのを聞いた時、真っ先に浮かんだのが「また同じのをください」に応えられなくなるということでした。
もちろん、型は残るので別の素材で作ることはできますし、これから新しい素材探しもしていきます。でも、この素材で仕立てられた『ワークシャツ365』をユニフォームのように着ている方にとっては「同じの」が重要だと思っています。
「定番」を大切にしながら11年目を迎えているホーローシャツにとって、それに応えられなくなるのは残念でなりません。
でも、下を向いてばかりはいられないのも事実。そして、まだ完全に素材がなくなった訳ではありません。
残された生地は、なるべくホーローシャツの手で『ワークシャツ365』に仕立てたいと思っています。とはいえ、何の後ろ盾もなく全てを買い占める決断ができないのも小規模事業者のリアルです。
『ワークシャツ365』×「綿麻ツイル」のラストチャンス
ホーローシャツは、オーダーをいただき、それに合わせた量の生地を仕入れて仕立てる、そんな順序でものづくりをしています。あらかじめたくさんの生地を仕入れることは稀です。
一方で、この綿麻ツイルを扱うメーカーの在庫は当然僕だけのものではないですので、メーカーへの連絡は早ければ早いほどたくさんの量が確保できます。
そのため、このタイミングでなるべくまとまった量の生地を仕入れて、1着でも多くのシャツを仕立てるには、みなさまのオーダーが必要、というわけなんです。
「気になってていつか欲しいな…」
「そろそろ2代目が必要かな…」
「色違いも欲しいな…」
こんなふうに思ってくださっているみなさま、急かすのは本当に不本意なのですが、今が現行モデルのラストチャンスです。僕も、こんなご案内をするとは思っていませんでしたし、いつものように「いつでもいいですよ」と言い続けたかったのが本音です。
でも、個人の力ではどうしようもない状況ですので、あえてお伝えします。
「なくなってからでは遅いです」
ですので、まだ袖を通したことがない方も、すでにご愛用くださっているみなさまも、「いつか…」と思ってくださっている方は、早めにご検討いただくことをおすすめします。(でもやっぱりこういう言い方は慣れないです)
オーダーはこちらからよろしくお願いします(3月16日〆切)
ワークシャツ365(COTTON LINEN TWILL BLACK / OFF WHITE)
なるべくゆっくり多くの方のオーダーをお受けしたい気持ちと、メーカーへの連絡は早い方がいい状況との板挟みが悩ましいのですが、下記の通り募集期限を設けさせてください。
3月16日 23:59までにオーダーいただいた皆さまの分は確実にお届けできるようにします。
色々な布が好きな僕にとっても、特に好きな布だったので、悲しさを吹き飛ばすような最後にしたく、ぜひこの機会にホーローシャツの不朽の名作(自画自賛)を手に入れてください!!